丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(以下、MIMOCA)では、現在開催中の企画展「丸亀での現在」参加作家の1組・KOSUGE1-16の土谷享さんを講師にお迎えし、子ども達が主体的に創作する工作ワークショップを実施しました。その様子をお届けいたします。


撮影:福田ジン

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「ミモカで野良工作!」はみんなの美術館の中に "余白"=自分だけのテリトリーがないか探検し、そこに自分たちでつくった造形物をこっそり置くことで場所を自らつくり上げるワークショップです。土谷さんは「野良」を"ルールや決まりに捉われない、自由な振る舞い"という意味があると考えています。今日は自由に場所を見つけて作品を仕掛けて、「野良工作」を実現してほしいと参加者にお話しいただきました。

まずは13人の子どもたちが3グループに分かれました。初対面で年齢も違う仲間と、最初は戸惑いながらも"余白"を見つけるために館内をまわった後、造形スタジオに戻り、野良工作のアイデアを出しあいました。

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さらに使用する道具と材料はくじ引きで決められました。講師である土谷さんにアドバイスをもらいながら、限られた資源で工作に挑戦しました。
時には他グループが所有している道具をもらうため、自分たちの道具と交換しながら工夫して作品づくりに集中!

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材料交換も土谷さんのアイデア。自分たちの持っている資源で、足りないものを獲得していく。簡単にものが手に入る時代だからこそ、物々交換は子どもたちにとって貴重な体験になったでしょう。

制作が完了すると、造形スタジオを飛び出し、発見した"余白"にこっそり作品を置いていきました。

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グループ名:クラフターズ
作品名:《めだちたがりやひみつきち》
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グループ名:個性たっぷりチーム
作品名:《世界に一つだけの木とやさしい動物たち。》
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企画展「丸亀での現在」KOSUGE1-16《カウンタフォイル・リサーチ ヘッドライトに照らされたクリーチャーたち2021年での設置風景

グループ名:ニャンニャン村
作品名:《ネコのララハウス》
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グループ名:ニャンニャン村
作品名:《スタートアップ村は今日も平和です。》
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グループ名:ニャンニャン村
作品名:《ニャンニャンハウス》
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企画展「丸亀での現在」KOSUGE1-16《カウンタフォイル・リサーチ ヘッドライトに照らされたクリーチャーたち2021年での設置風景

最後にグループ名、作品の名前、特徴、設置した場所を記入してオリジナルの作品シートが完成。
各グループの作品シートを綴じて、土谷さんによる可愛いイラスト表紙付きの野良工作ノートとして持ち帰りました。
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土谷さんの感想
「自分たちで場所を見つけて展示することが今日のワークショップでしたが、決められた場所にテーマも決めて作るだけがアートじゃない。自分たちが見つけた場所で自由に作ったものを展示するということが一番大切なことなので、今日やったことの気持ちを大切に、心の中に取っておいてほしいなって思います。」

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なお、野良工作の展示はこのワークショップの日限定でしたが、企画展「丸亀での現在」は3月21日(月・祝)まで開催しています。ぜひご覧ください。

MIMOCAはこれからも、子ども達が豊かな感性を持ち、自由に表現することができるプログラムを提供していきます。


講師プロフィール
KOSUGE1-16
車田智志乃と土谷享によるアーティスト・ユニットとして2001年より活動を開始。現在はこれまでのコンセプトを引き継ぎ、土谷が代表として活動する。日常のありふれた環境、現象、人のつながりなどをきっかけに作品を制作し、作品を通して鑑賞者を参加者に変質させ、参加者同士、あるいは作品と参加者の間に「もちつもたれつ」という関係性を構築する。
企画展「丸亀での現在」では、地方の夜道を運転中に、野生動物などと遭遇した体験から着想したインスタレーションを展示している。


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「丸亀での現在」