MIMOCA NEWS 005


review
MIMOCA'S EYE vol.1 野口里佳展[予感]
 
会場風景 撮影:高橋章
 
昨年夏に開催された「MIMOCA'S EYE VOL.1 : 野口里佳展[予感]」は、会期中に
野口さんのワークショップやレクチャーも行われ、盛況を博しました。このコーナー
ではこの展覧会を作品の面から振り返ってみます。
野口里佳さんは、今回の展覧会で「ロケットの丘」という新しいシリーズを発表しま
した。このシリーズは、種子島にある宇宙開発事業団の宇宙センターで撮影された
ものです。野口さんは何度もこの場所に足を運び、センターとその周辺のいろいろ
な表情をカメラにとらえました。ロケットの組立施設や打ち上げを観測する建物、広
がる海や木々、そして空。それらは淡々として静かだけれども、どこか心に留まる
写真として私たちの前に現れました。宇宙センターで撮影した「ロケットの丘」とい
う作品なのに、不思議なことにその中にはロケットもそれを操る人も登場しません。
野口さんは、何かが起こる前の瞬間にこれから現れることを予感しながら撮ってい
るのでしょう。つまり、展覧会のタイトルにもあるように、そこは予感に満ちたところ
なのです。そして、どの写真もどこか別のところへと続いているような感じがします。
それは別の世界へと開かれているといってもよいかもしれません。同じ世界に留ま
るのではなく、彼方へと続いていく。この感触が画面に緊張感を与え、見る者の心
を刺激するのではないかと思います。はじめ静かな気分を味わっていると、次第に
不思議な心のざわめきが聞こえ、さらにどこかへ続いている予感を感じ、そしてな
ぜか勇気がわく。そんな作品です。
展覧会は終わりましたがこの「ロケットの丘」はシリーズとしてこれからも続きます。
次に野口さんは私たちにどんな予感を見せてくれるのでしょうか。
若いアーティストを応援する「MIMOCA'S EYE」もまたシリーズとして続いていきま
す。皆様からの暖かい応援とともに。
 
観覧者数: 6238名
 
出品作品一覧
創造の記録 1993−1996年
ゼラチン・シルバー・プリント
30.0×30.0cm 19点
青山正博氏蔵
ドリーミング・オブ・バビロン 1998年−
Cプリント
70.0×70.0cm 10点
作家蔵
出品協力 ギャラリー小柳
果たして月へ行けたか? 2000年
ライトジェットプリント
89.0×218.0cm
作家蔵
出品協力 ギャラリー小柳
ロケットの丘 2001年−
ライトジェットプリント
149.5×119.5cm 8点
90.2×238.0cm 2点
作家蔵

MIMOCA'S EYE VOL.1 : 野口里佳展[予感]
会期   2001年7月28日(土)→9月16日(日)  会期中無休
主催 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、財団法人ミモカ美術振興財団
助成 財団法人地域創造「地域の芸術環境づくり支援事業」、芸術文化振興基金
協賛 東京カラー工芸社、富士写真フイルム株式会社
協力 ギャラリー小柳
 
この事業は、
ジャンボ宝くじの売上金から
助成を受けて実施されました
 




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