MIMOCA NEWS 007



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このコーナーでは、美術館で働く人にインタビューし、普段なかなか知る機会のない舞台裏や職員の声をご紹介します。
今回は、カフェ業務担当須藤恵美子さんにお話をうかがいました。


Q.どんなことをしているの?

A.[開店前]朝、鍵をあけて電気をつけるところから一日が始まります。それからレジや洗浄機やサンプルケースなど器機の電源を入れ、テーブルを拭き、やかんにお湯を沸かし、氷を容器に入れ、カップ類を温め、ミルクやシロップを用意し、コーヒー用のろ紙を折り、夏はアイスコーヒーをたて、図書館側の入口前にカフェの看板を出し、音響をスイッチオン、音楽が流れ出したら準備OKです。ここまで、約10分です。

[開店中]お客様が来られたら、お冷をお出しして、ご注文をうかがいます。そしてコーヒーをたてたりケーキをセットしたり、サンドイッチを作ったりして、今度はできたものをサーブします。お客様が帰られたら、テーブルの上を片付けて、食器を洗浄します。基本的にはこの繰り返しですが、その合間に、サンドイッチ用のパンをスライスしたり、卵マヨネーズを作ったり、お皿を拭いたり、テーブルの細かな傷を磨いて消したり、カップの茶渋を取ったり、氷を補充したり、ゴミを捨てに行ったりなどなど、することはたくさんあります。

[閉店]夕方4時過ぎに、まずふきんを洗濯します。サーブの合間に砂糖を補充し、業務日誌をつけ、売上げを精算し、とするうちにラストオーダーの5時30分になったら入口に“Closed”の看板を出します。店内にお客様がいらっしゃらなくなれば、閉店作業を行います。ミルなどの器具を洗浄し、洗ったふきんを干し、紅茶用のフィルターを洗い、トイレを掃除し、ガスの元栓を締め、椅子をきちんと並べ・・・。全部終わったら、2人組みで点検し、OKならば電気を消して施錠、業務終了です。



Q.心掛けている事は?

A.コーヒーをたてるときには、ちょっとしたタイミングの違いで、えぐ味が出たり濃くなり過ぎたりと味に差が出てしまうので、いつもおいしくいれるため特に気を使います。



Q.嬉しかった事や印象深い事は?

A. やはりお客様が「おいしかった」と喜んでくださるのが一番嬉しいです。印象深いのは、神戸で研修した後自分でコーヒーをたてられるようになったこと。そして練習を重ねるにつれて、自分の思う味に近づいていったのも嬉しかったです。



Q.カフェを自慢してください。

A.たくさんありますが・・・。まず、アイスコーヒーに入っている氷が、コーヒー自身の氷なのが自慢です。時間が経っても味が薄くなりません。ケーキは手作りで、コーヒーも紅茶も一杯一杯心を込めて、おいしく食べて飲んでいただけるよう日々精進しています。また、窓から見えるカスケードプラザの「滝」と「オブジェ」と「石」の空間がおすすめです。個人的にも仕事中にふっと目にするこの景色が気に入っています。1人で本を読んだりしながら長い時間過ごされるお客様が多いのも、この空間によるところが大きいのではないでしょうか。



Q.最後にお客様へのメッセージをどうぞ。

A.「美術館の喫茶」という少し特別な喫茶ですから、展覧会を見た後でカフェに来られるお客様にとって展示室と雰囲気の違う場所にならないように、最後までミモカに来て良かったと思っていただけるような場所であるよう努めています。そして、猪熊の「美術館は心の病院」との言葉通り、カフェも「心の病院」でありたいと願っています。その為にも、猪熊が気に入っていたスコーンのようなミモカらしいカフェの味やスタイルをこれからも守っていきたいです。



<インタビュアー感想>

1日中立ちっぱなしで肉体的にかなりハードな仕事です。でも「心の病院」として、美術館のカフェであり続けるのは、もっともっとハードなことだと思います。それを成り立たせているのは、コーヒー一杯をおいしくたてる事から始まる、須藤さん他カフェスタッフの仕事へのこだわりと情熱なのかもしれません。




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