MIMOCA NEWS 008



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このコーナーでは、美術館で働く人にインタビューし、普段なかなか知る機会のない舞台裏や職員の声をご紹介します。
今回は、「MIMOCA現代芸術入門講座」担当、名(迷)司会でおなじみの学芸員中田耕市さんにお話をうかがいました。2000年のスタートから3年間で合計12回の講座を行い、のべ1300人以上の方が参加しています。


Q.この講座をはじめた理由は?

A.それまでミモカの教育普及活動の中には、子ども向けワークショップのように定期的で、大人を対象とした活動はありませんでした。それで大人にももっと美術や美術館を楽しんでもらえるようなものをやりたかったのです。なぜ「講座」にしたかと言うと、子どもが「体を動かす」のに対して、大人は「話を聞く」ことから始めた方が入りやすいかなと思ったからです。


Q.なぜ「美術」じゃなく「芸術」入門?

A.今の「現代美術」は、他の芸術分野を取り入れたり、互いに行き来したりしています。映像・音楽・演劇 etc・・・。ですから「美術」に限定しないで「芸術」と広くした方が、逆に現代美術や美術館自体を楽しんでもらえるかな、と。講師も選びやすいですし。


Q.では講師はどのように選ぶの?

A.大前提は、<いろんな芸術の分野から選ぶ><今が「旬」(現役)の人><僕が会いたい人、お客様に会わせたい人>です。具体的には、まず来てもらいたい人の連絡先を調べます。これさえできればあとはご本人にお願いして、OKなら日程を決めます。


Q.苦労することは?

A.たくさんのお客様に来てもらうための工夫です。毎回悩みます。「入門」なので、来てもらう事から始まる、いかに来てもらうかが大事だと考えています。
あと日程調整が難しいです。初年度は8月の毎日曜日に行いましたが、講師の都合もあり調整は大変でした。


Q.面白いことは?

A.講師と飲みに行くこと。ただ、講演の時に話すべきことを前の日にどんどん話してしまって、本番同じことを繰り返させる、とはならないようちょっと気をつけています。


Q.これまでの講座についてお客様の反応は?

A.概ね好評、です。講師によってお客様の性別や年齢、それに反応も違ってますね。遠く、東京から来られた方もいました。いろんな層の人が美術館に足を運んでくれたということには意義があると思います。


Q.もともとその講師や分野に関心のある人が来ているのに「入門」?

A.確かに、美術・芸術に関心の無い人に来てもらうことは難しいです。そういう人にいかに足を運んでもらうか、今後の課題です。ただ「入門」だからと言って、授業を聞いて概論自体を学ぶことがいいかどうかは疑問。じゃ、旬の人の話を聞くのが「入門」かと言うと、それも不足。講師の話から、何か美術とか芸術と接する接点だったり、向き合う方法だったり、そういうものを自分なりに得てもらいたいです。


Q.この講座の「MIMOCA」らしさとは?

A.カルチャースクールや教養講座は結構あります。生涯学習などで講座を受講する機会は増えている中で、意外と美術・芸術は少ない。また現場の人は少ない。美術・芸術、現場。これが「MIMOCA現代芸術入門講座」の特徴です。
丸亀でこんないろんな人たちの話が聞けるせっかくの機会ですから、とにかく地元の人に来てもらいたい。講師を知っているか、足を運びたくなるかは考えていかないといけませんが、だれでも知ってる人を呼べばいいかと言うと、それもどうかなと思います。
もう一つの特徴は、テーマを決めていないこと。シリーズで何かという訳ではなく、いろんなジャンルの話を聞く。系統だった知識が身につくことよりは、いろんな分野で実際に活躍してる人の話をじかに聞き、話をすることで何かを得てくれれば。
大きなテーマはあります。生きてる、今活躍をしている人に話をしてもらえるので、現に起こりつつある芸術、すごくアクチュアルな芸術に触れるきっかけ、そういう意味での「入門」なのです。


Q.これからのお勧めは?

A.まだ内緒。


Q.最後にお客様へのメッセージをどうぞ。

A.気軽に来てください。そして質疑応答のときには、ぜひ講師の方に声をかけて話をしてください。



<インタビュアー感想>

「入門講座の日は出勤じゃありませんように」とシフトを見るとき祈ってしまうくらい、個人的にこの講座のファンです。どの「現場」の話も、夢と現実が入り混ったエネルギーあふれるもので、聞いた後はとても興奮します。しかも、今トップを走る人たちのその顔が目の前にあり、その口から言葉が出てくる!今回、中田さんからこの講座の「大きなテーマ」を聞いてなるほどと納得しました。今後も期待大です。




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